FEATURE - 2023.10.23

メッセンジャーが伝える興奮とUnity【CMWCレポート】

先日告知も行ったメッセンジャーの世界大会とも言われるイベントCMWC 2023 YOKOHAMAにブース出展で参加してきました。

世界各国から、メッセンジャーもしくはその文化に魅せられた猛者が集い、その速さを競い合う、いわばメッセンジャーのワールドカップ。しかもその場所が日本の横浜スタジアム。一生に一度生で見れるかわからない一大イベント。集ったレース参加者はまさに世界各国から370名近く。そしてそんな希少なイベントを一目見ようと、2日合計でおよそ1万人もの来場者が集ったようです。

 

レース前から会場内は、普段参加するイベントとは一味も二味も違った個性的な人々や自転車が勢揃い。

会場には本当にいろんなジャンルの自転車が集まっていて、お互いの自転車について談義している様子や、写真を撮ったりしている様子があちらこちらで。
もちろん自分たちも例外でなく、個性あふれる自転車を見つけては写真を撮らずにはいられない一人ではあるのですが、そうやって会場内をパトロールしていると、すれ違いざまに「クールな自転車だね」「イケてるステッカーだね」とお互いの愛車を称え合うような、自転車談義がどこからともなく聞こえてきます。

 

このイベントが、そしてメッセンジャーと言う人たちとその文化が、とてもピュアで壁がないものであることを、そんなやりとりからもどことなく感じ取ることができます。

会場内では界隈の著名人、先人たちや、知る人ぞ知るな人たちもやはり見かけました。2022年NYC大会のチャンピオンちかっぱ氏も運良くキャッチ。快く撮影にも応じてくれました。

彼が愛用するサイクリングシューズブランド、SIDIをはじめとし、ジャージにはバリエーションに富んだ様々なブランドロゴが。今回は連覇がかかった晴れ舞台ということで、本人が自主的に制作した一点モノのよう。なんと会場内では彼の顔が大きくプリントされた「ちかっぱTシャツ」をきて連覇を応援するフリークも少なくなく、世界を制したその実力はもちろん折り紙付きですが、関わる人たちを大事にし、そして彼らに愛される人柄もうかがえます。

ありがたいことに、会場内ではFUJIの自転車もちらほら。中には、FUJI STROLLでデリバリーレース決勝にコマを進めたレース参加者も。本人に合わせたカスタムが随所に施されていて、愛着を持って乗っていただいていることを伝えてくれました。

サブイベントや併催イベントとしてトリックコンテスト、BMXスクール、日本唯一の固定ギアクリテリウムなど様々なコンテンツがありました。日が落ちた中、照明で照らし出されたアスリートたちの姿もカッコよかった。

そんな中、メインイベントはやはりデリバリーレース。いわば自転車メッセンジャーの日常業務の要素をふんだんに取り入れ模した擬似レースで、直前に渡されるマニフェストをもとに参加者はそれぞれ独自で最速で荷物を届けられるルートを組み立て、最後の荷物の配達完了までの速さを競うレースです。

 

ここでは、2日目に行われたデリバリーレース決勝の様子を写真で少しだけ。

推定体積で上半身の倍ぐらいあるであろうどデカいバックパックや、クッタクタのメッセンジャーバッグを背負って、ゴリゴリのステッカーチュンが施され、錆に錆びた自転車を自在に操る彼らの姿の力強さに、ついついカメラのシャッターが止まりません。

中にはそんなにボロボロで大丈夫なの!?ってなるようなものも何度か見かけたけど、正直いってそんなことを考えることが野暮な気さえします。もはやサステナブルだとかそういう問題じゃなくて、この美しさこそがほかの何者にも変え難い。

クローズドなコースとは言え、世界初とも言われている立体的な作りのコースには参加者たちも翻弄されたよう。もちろん、会場内随所に設置されたチェックポイントにはFUJIのポイントも。

素人撮影な写真なので、その熱気は伝わらないかもしれませんが…実際の会場での盛り上がりっぷりはすごかったんです。むしろこの手のイベントは本当にナマモノだと思うので、正直なところこんな写真ではなく皆さんにもただただ現場で体感して欲しい…。

 

入賞したのは、結果的にはロードバイクユーザーが多かったようですが、デリバリーレース全体で見ると、やはりシングル&フィクスドも予想以上に多かった印象です。参加者の多くがメッセンジャー経験者であるイベントで、タフに乗れることも優先度が高いことを想像すると、当たり前と言えばそうなのかもしれませんが、その第一次ブームのようなものからはおよそ15年ほどが経過していることを考えると、やはり驚きでもあります。

 

会場を見渡していると年齢的に20歳前後の来場者も少なくなく、スタッフが気になって数名をキャッチして聞いてみたところ、最初は自転車競技やツーリング自転車に興味を持って、自分たちも好んでそういった自転車を乗っていたが、より深く自転車に関わるにつれシングルスピードやピストバイクの存在を知り、やがてその魅力にのめり込んでいったようす。

 

元はギアードを愛用していた人間が、「変速がない」自転車のことを素直にポジティブな印象で捉え、その魅力にもハマっていったと言うことをこうやって実際に聞く。

長い間、シングルスピードを精力的にラインアップし続けているFUJIにとっては、やはり素直に嬉しいことです。

いわゆるママチャリ、一般自転車の割合が9割以上という圧倒的な割合を占める日本の自転車人口の中で、そこに該当しないスポーツ自転車の、しかもその中のさらに一握りの、なんなら見た目にはちょっぴりクセのある人たちが多いメッセンジャーたちが、自分たちが愛するその文化を誇って広げるために一年に一度だけ、世界のどこかで開催しているお祭り。一見すごくマニアックなイベントに聞こえるけど、老若男女それどころか国境関係なく世界中からこれだけの人が集まって、そんなみんなの力でこのイベントが出来上がっている。

アートは国境を越える、音楽は国境を越える、それらは人を分断せずに一つにする…とはよく言ったものですが、まさにここで自転車が国境を越えて皆を一つにしているような、そんな大きなうねりを感じました…改めてこんな純粋でパワフルなイベントは、他に知りません。

写真:CMWC YOKOHAMA 2024より提供

なんだか支離滅裂で断片的なレポートになってしまいましたが…もし自分が生きてるうちにまたこんな大会が日本で見れる時があったなら、その時はもうちょっと上手く写真撮れるようになっていたいな…。

 

改めて、CMWCを日本の横浜で開催するために立ち上がった発起人の3人、そして一丸となって運営して頂いた実行委員の皆さん、このイベントに関わられた関係者の皆さん、本当にお疲れ様でした。そしてありがとうございました。

 

自転車に対してで誰よりもまっすぐな人間たちだからこそ実現できたこの素敵なイベントと彼らの活動が、今後もさらに多くの人の心を動かすことを強く願っております!