NOTE - 2020.09.18

知的好奇心を刺激する?FUJI BIKESのモデル名の読み方・由来

こんにちは。

 

FUJIはこれまでの120年を超える歴史の中で、数え切れないほど多くのモデルをリリースしてきました。
今日は、その中でも各モデルにつけられた「名前」について(特に日本に再上陸した2010年以降のモデルをメインに)少しお話しさせていただこうと思います。

 

我々が日々いただくお問い合わせには様々なものがありますが、中にはモデル名が個性的(≒読みにくい)とか、この名前ってどういう意味なの?(≒わかりにくい)などのコメントをいただくことも少なくありません。

 

開発スタッフは細部にこそこだわる人間も多く、設計やデザインはもちろんですが、モデル名のネーミングにも強い想い入れを持ち、表記の仕方や読み方までこだわるものも…。今日はそんな中でも特に話題に上がることが多いモデルを中心に、ほぼ主観で選んだ5モデルを、読み方/由来や込められた意味などを交えてご紹介させていただきます。

FEATHER フェザー
前身となる日米富士自転車が 1935年に発売したスポーツ自転車、フェザー号より名を引き継ぎ命名 (日本で最初のスポーツ車とされる。かつては現在のようなシングルスピードではなくランドナーバイクや実用車として展開されていた)。ビンテージのFUJIのバイクには、自転車の顔とも言えるヘッドチューブに「富士山と羽(フェザー)」が刻印されたバッジをつけているものも多く存在し、「Feather号=富士自転車」と言ってもいいほど、ブランドにとってこの名が揺るがない存在であったことは容易に想像がつきます。時を経て2000年初頭、アメリカンブランドとしてFUJIが日本に再上陸したとき、まさに世はトラックバイク全盛期。メッセンジャーをはじめとして、フィクスドのシングルスピードのバイクがストリートを席巻しました。アンダーグラウンドだからこそ刺激的であったそのシーンに大きな可能性を見出したFUJIは、この新たなシングルスピードが自分たちの再出発の柱になることを願って、かつての伝統の名を引き継ぎました。ロードバイクであった当時とはスタイルこそ変えたものの、現在でも「Feather(シングルバイク)=FUJI」と言っていただくことも多く、今ではこちらの新生Featherこそがわたしたちの看板モデルとなりました。

 

 

 

NAOMI ナオミ
海外っぽく読むとネイオミなどとも読めますが、我々のイメージする発音としては読んで字の如く「ナオミ」。わずかに扁平した直線的なパイプにシンプルなグラフィックの組み合わせが特徴で、日本人が日本人向けに開発した、FUJIを代表するアルミのエントリーロードバイクです。企画者曰く、「自分の愛車に名前をつけて擬人化するという行為は、自転車のみならず乗り物乗りであれば一度はやったことがあると思います(笑)ちょうど当時は、ローディからも、カジュアルユーザーからも一目置かれ、客層問わず幅広く愛されるロードバイクを構想していたときでした。日本でもメジャーな人名の一つであるNaomiという名前が、言語の違う世界のあらゆる国でも共通して人名として使用され親しまれているということを耳にして。それから気になってNaomiという名前の英語圏での由来、意味を調べたところ、もともとはpleasantness、つまり「楽しさ」とか「心地よさ」を意味しているという事実を知り、これだ、と思いましたね。」だとか。

 

 

 

TRACK ARCV トラックアーカイブ
その読みから察していただく通り、ARCVは言わずもがなarchive(保管庫、記録)の母音字略なのですが、こちらの単語の意味をさらに深掘りすると「保管すべき、そして未来へ伝達すべき貴重な文献、資料」などというニュアンスが含まれます。そこで、注目してほしいのはこちらのモデルの大きな特徴であるパシュートジオメトリ(トップチューブが前方に向けてスローピングする形状)のフレーム。近年、あらゆるメーカーのバイクで目にすることも増えた気がしますが、実はそのルーツは1980年代にさかのぼります。トラックバイクの主戦場であるタイムトライアル競技において、選手の前傾姿勢を作り空力抵抗を減らすために開発され流行した形状と言われています。まさに「速さ」を追及するにおいて非常に由緒ある形状なのです。現在はストリートでもそのインパクトのあるルックスが再評価され、このパシュートジオメトリーが一つのスタイルとしても確率された印象がありますね。

 

 

 

JARI ジャリ
こちらはあまりにもキャッチーな名前がかえって様々な憶測を生む、グラベルバイクの金字塔JARI。「グラベルバイク」と言うカテゴリが確立され出した2017年にデビューしました。本国のアメリカではデビューと同時に某雑誌のエディターズチョイスを賑わすなど、インパクトのある名前だけでなく、1台の自転車として話題性のあったモデルです。その名前の由来はというと、まさに日本でいう未舗装路「砂利道」からインスパイアされたもの。グラベルバイクの本場と言えるアメリカ企画の製品でありながら、こういった小さなところには日本発祥のブランドである背景も感じていただけるかと。デビューより4年が経過し、先日ローンチした最新モデルでは、アルミモデルのフレームがリニューアルし、さらなる進化を遂げています。

 

 

 

TALAWAH タラワ
最後は2021年のニューモデルとなる650Bのクロモリクロスバイク。talawahは、ジャマイカなまりの英語であるパトワ語で、「恐れない強い心」を意味します。クラシックなクロモリフレームにで27.5×1.75の太めのタイヤのコントラストが効いたワイルドなルックスからは、カリブ海の南国にイメージするような、どこか土着的な雰囲気も連想させます。しかしそんな見た目には相反して、ブレーキには最新の油圧ディスクブレーキを採用。フルリジッドながら、クロモリフレーム特有の適度なしなりとタイヤのエアボリュームで、多少の悪路も快適に突き進むことができる走破性からは、まさに名前の由来となった「恐れない強い心」なマインドを感じていただけると思います。

 

 

以上、駆け足になりましたが簡単にご紹介させていただきました。

 

 

こちらを読んでいただいている方には、数ある自転車ブランドの中からFUJIに出会い、興味を持っていただいている方も多いと思います。
せっかくなので、気になった自転車はそのモデルの名前の由来にまで掘り起こして興味を持っていただくのも、また違ったストーリーが見え隠れして面白いかもしれません。